相続あれこれ(全2回) 第1回
その1 遺言
民法は、人が亡くなったときに誰が遺産を相続するか、どのような割合で相続させるかを定めています。これを法定相続人、法定相続分といいます。法定相続人以外の人に遺産を譲りたい、あるいは法定相続分とは異なる割合・方法で相続させたいという場合には、遺言をつくります。遺言には公正証書遺言、自筆証書遺言などがあります。公正証書遺言は公証人役場でつくるもので、これだけで不動産の登記手続きなどができます。ただし、公正証書遺言をつくるには証人2人が必要ですので、証人がみつからないということもあります。弁護士が依頼されたときには弁護士等が証人になりますので、秘密を守ることができます。自筆証書遺言は内容、作成年月日等全文を自筆で書く等、民法が定めている形式を厳格に守らなければなりません。自筆証書遺言を執行するためには家庭裁判所で検認という手続をとる必要があります。
その2 相続人・法定相続分
次に、法定相続人、法定相続分についてお話しします。民法が定めている法定相続人は、次のとおりです。まず、亡くなった方に配偶者がいる場合には、配偶者は常に相続人となります。そして、配偶者の他に子ども(子どもが亡くなっている場合には孫)がいる場合には子ども(または孫)が第1順位の相続人となりますから、相続人は配偶者と子ども(または孫)ということになります。子どもや孫がいない場合は、第2順位の相続人は父母(父母が亡くなっている場合には祖父母)なので配偶者と父母(または祖父母)が相続人となり、父母や祖父母もいない場合は、第3順位の相続人は兄弟姉妹(兄弟姉妹で亡くなっている人がいる場合にはその子)なので配偶者と兄弟姉妹(またはその子)が相続人となります。第1順位の相続人がいなければ第2順位、第2順位の相続人の相続人がいなければ第3順位という順番で相続人を決めていきます。相続人を確定するためには、亡くなった人の出生時から亡くなるまで戸籍謄本をとる必要があります。とくに、第2順位、第3順位の相続人の場合には、前順位の相続人がいないということを確定しなければなりませんので、取り寄せる戸籍謄本は膨大なものになり、困難をきわめます。弁護士に依頼せずご自分で取り寄せるという方がいますが、途中で頓挫してしまう方が多いようです。
遺言をつくりたい場合、亡くなった人の遺言を発見した場合、相続が発生した場合にはお気軽に弁護士にご相談ください。