交通事故シリーズ どんな損害を賠償請求できるか(第2回)―治療費
弁護士 中野 直樹
治療費と健康保険
怪我を治療するために必要な医療費が損害賠償の対象となるのは当然です。治療を受けるときに健康保険を使うかどうかが問題となることがあります。加害者側が任意保険に入っていないときには、健康保険を使わないと自賠責保険の上限120万円が医療費で全部消えてしまい、休業損害、慰謝料等の支払いを受けられなくなることもあるので、健康保険を使って治療を受けることも検討すべきです。また、被害者側に大きな落ち度があり、過失割合が高いとき、治療費についても過失割合がかけられ、精算対象となるので、健康保険を使うことが賢い選択です。
鍼灸・整体など
近時は、鍼灸、マッサージ費用なども任意保険から支払いを受けることができるようになりました。それは、判決例で、施術を受けたことで症状が良くなるなどの一定の効果があったとして請求の全部又は一部を認めることが積み重なってきているからです。医師の指示があるとより認められやすくなります。事前に保険会社に連絡をして了解をもらってから施術を受けてください。
2020/02/14