交通事故シリーズ ご注意 消滅時効(第3回)―時効を止める手だて
弁護士 中野 直樹
時効の中断
消滅時効を止めるためには、民事裁判を起こすか、加害者の承認をもらう必要があります。これを法律は、時効の中断と言っています。
民事裁判の場合は、訴状を裁判所に提出して受理された日に3年経過していなければセーフです。しかし、1週間後に3年の満期が迫っているという事案では、訴状を準備して出すことはかなり困難です。このときは、加害者に対し、できれば内容証明郵便や配達証明付きで請求通知を送り加害者が受取ってくれると、この受取りから6ヶ月以内に民事裁判を起こせばセーフとなります。裁判によらない請求はこのような応急措置としては有効です。
加害者の承認
加害者が支払うという念書を書いたり、賠償金の一部を支払ったときには一旦時効は中断し、その時点から新たに3年の期間が開始することになります。被害者が自賠責保険を請求し一部の支払いを受けたときには、それを承認と解して、そのときから新たな3年間が始まると考えられます。加害者が任意保険会社や弁護士をたてて交渉をしていることをもって「債務承認」があったとするかどうかは、加害者側の主張内容にもよりますので慎重な判断が必要です。
2019/05/15