交通事故シリーズ ご注意 消滅時効(第2回)―時効は止まらない
弁護士 中野 直樹
加害者が行方不明
消滅時効は、被害者が損害及び加害者を知ったときが起点となりますから、当て逃げをされて物損や人損を受けたとしても、加害者が誰か不明の場合は、後日加害者が明らかになるまで3年の期間は進行しません。これに対し、事故のときに加害者が誰かわかったが、どこに住んでいるのか不明で、連絡もとれないという場合には、時効は止まらず、3年の期間は進行します。
催促をしているだけでは時効進行
加害者が無責任な態度のためにどれだけ連絡をとっても進展をしなかったり、過失割合をめぐる意見の対立から催促をしても加害者から返事がこないということが続いてしまうこともあります。とりわけ、加害者が任意保険に入っていない場合の物損事故のケースでは、加害者との直接交渉となり、このような状況となってしまうことがあり得ます。
この場合には、いくら手紙や電話で加害者に請求を続けていたとしても、そのことだけでは時効の進行は止まりません。加害者の不誠実さは、時効の進行を止める理由とならないのです。
2019/04/03