交通事故シリーズ 好意同乗中の事故(第2回)―減額されることもあり
弁護士 中野 直樹
前回は、好意で車に乗せてもらっているときに、運転者の過失で事故となり怪我をしたり、不幸にも亡くなったときには、原則として、運転者に全額の損害賠償を求めることができると言いました。しかし、保険会社からは減額の主張が出されることも多く、裁判所も減額を認める判決を出したケースがけっこうあります。
たとえば、運転者が時速100キロの速度で走行し、運転操作を誤って事故になったケースで、便乗した同乗者が運転者に対する注意をしたりすることがなかったことを理由に慰謝料のみ20%を減額した判決があります。
運転者と一緒に酒を飲み、車に同乗して帰宅する途中でガードレールに衝突したケースでは、飲酒の事実を知った上で自らの意思で同乗したことを重視され、全損害から20%を減額した裁判例が多い。とりわけ現在は飲酒運転が厳しく罰せられる時代となっていますので、減額割合はより大きくなると思われます。
運転免許をとって2ヶ月もたたない知人に深夜ドライブをさせているときに事故となった事案でも全損害の20%を減額した判決があります。
同乗者にも危険な運転に気づいたときにはやめさせる注意が求められます。
2019/02/14