法律マメ知識

交通事故シリーズ 他人が起こした交通事故の責任(第7回)―従業員の出勤途上の事故

弁護士 中野 直樹

 従業員がマイカーで出勤あるいは帰宅途中で事故を起こした場合に、雇い主が責任を負うかどうかは、具体的な事情によって結論が分かれます。 

 雇い主の方で、日頃から、出勤に自動車を利用することを固く禁じており、遠方への出張にあたっても雇い主の許可のない限り、車を利用することを禁止していたにもかかわらず、従業員が無断でマイカー出かけ、事故を起こしてしまった場合には、雇い主には責任が発生しないと考えます。

 これに対し、会社が、従業員のマイカー通勤を認め、会社の敷地内を駐車場として提供し、この従業員が外回りにマイカーを使うことを承知していた状況で、従業員が勤務終了後帰宅途中に交通事故を起こした場合には、会社に運行供用者責任が発生します。

 では、会社が、マイカー通勤を禁止しているが、従業員が会社の近くに自分の負担で駐車場を借りてマイカー通勤をしていたことに気づいていたときにはどう考えたらよいか。なかなか微妙なケースですが、会社の方で気づいた後に、車通勤をやめるよう指導をしていた等の事情があれば、会社に責任は生じないと考えます。

2018/06/15
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