交通事故シリーズ 他人が起こした交通事故の責任(第4回)―友人どうしの貸し借り
弁護士 中野 直樹
Aさんは、車をもたない友人のBさんが休日に家族でドライブをしたいというので貸しました。Bさんはドライブ中に大きな人身事故を起こしてしまいました。Aさんに賠償責任が発生しますか。
ABと車の日常関係によって結論が分かれます。
車をずっと無償でBさんに貸したきりになっている場合には、車は借主のBさんの支配下にあり、Bさんが運行供用者としての責任を負う一方で、車の支配もせず、運行の利益も得ていない所有者であるAさんは責任を負わないというのが原則です。
しかし、日頃は所有者のAさんが車を利用しており、時々友人のBさんに頼まれて車を使わせているような場合には、ドライブ目的の貸し借りは一時的なものであり、Aさんは車の運行に対する支配と利益を失っておらず、運行供用者としての責任があるとされています。
任意保険をかけていない車は安易に友人に貸したりはしないことです。また任意保険にはいっていても、保険対象の運転者が限定されていることが通常なので、もしものときに保険金が全額でない可能性もあります。親しさにご用心。
2018/01/11