法律マメ知識

借金が払えない(全1話)

その1 債務整理

 債務整理とは、弁護士に事件を依頼して、支払わなければならない借金の総額を確定して、繰り延べ分割返済をして返済するという方法です。
 サラ金やクレジット会社からの借金の利息は、貸金業法で2010年までは年29%、2000年以前には年39%という高利が認められていました。他方、利息制限法では、元本が10万円未満の場合は年20%まで、10万円以上100万未満の場合は年18%までに制限されています。貸金業法と利息制限法どちらが優先するか裁判で争われ、最高裁判決で利息制限法の利息を超えた利息は元本にあてられ、払い過ぎた場合には返してもらえることになりました。
 ですから、弁護士が事件受任して利息制限法に基づいて借金の金額を計算しなおすと、古い借金の金額は大幅に減り、場合によっては必要以上に多額の支払いをしたものとして、過払い金を返金してもらえます。その結果、借金の金額がそれほど多くない場合には債務整理によって解決します。

その2 民事再生

 利息制限法にもとづき計算し借金の金額が大幅に減っても、なお多額の借金が残り、これを返していては生活が成り立たないということもあります。その場合最終的には破産ということになりますが、破産ではなく個人の民事再生という手続きをとった方がいい場合があります。
 民事再生とは、裁判所に申立をして再生計画を提出し、認められた再生計画に基づき、3年間毎月分割払いで支払えば、残りの借金は支払いを免除されることになります。
 支払う借金の総額は、最大で5分の1まで減らせます。たとえば、元々の借金が2000万円ある場合には、最大で400万円にまで減る可能性があります。ただし、減額の限度があり100万円は支払わなければなりません。たとえば、元々の借金が300万円の場合には、5分の1だと60万円になりますが、その場合には最低限度額である100万円までしか借金が減る可能性はありません。
 また、住宅ローン返済中の場合には、住宅ローンの支払いを続けて住宅を持ち続けることもできます。民事再生は、定収入が見込めること、自営業者の場合は総債権額の過半の債権者が異議を申立てないこと等々の条件があります。複雑な手続きですので、弁護士にご相談ください。

その3 自己破産

 借金が多すぎて、とても支払いきれない。そんなときの最後の手段は自己破産です。破産申立をし、免責許可決定を得ることによって、法律上の債務はなくなり、借金を清算して人生の再出発をはかることができます。土地建物などの高額な財産がない、あるいは財産があっても担保に入っていて債務額が財産価格を大幅に上回るという場合には、破産決定と同時に破産手続きが廃止され、免責許可を得る手続きに入ります。オーバーローンではない土地建物などの財産がある場合には、破産管財人が選任されて破産手続が開始され、免責許可を得る手続きも同時にすすめられます。
 破産をすると、選挙権が無くなるらしい、家財道具まで売らなければいけないらしい等々と、間違った知識を持って破産するのに二の足を踏んでいる方がいますが、そのようなことはありません。ただし、金融機関のブラック・リストにのりますので、借金をしたりクレジットカードを利用したりといったお金にまつわることの制限はかかりますが、日常生活をおくるのに必要なことは保障されます。しかも、これらの制限は一生続くわけではなく、何年かしたら制限はなくなります。
 また、破産したら人生が破滅するように考えている方もいらっしゃいますが、そんなこともありません。法が認めた人生をやり直すための手続きです。生きていくことが一番大切です。借金が多すぎて考えがまとまらない。こんな方は赤信号です。すぐに弁護士にご相談ください。

2013/09/02
  • 法律相談のご予約