ご近所トラブル(全2回) 第1回
隣から伸びてきた木の枝、竹の子(ご近所トラブル-その1)
境界を越えて伸びてきた竹木の枝や根について、民法233条は「隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる。」「隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、その根を切り取ることができる。」と定めています。したがって、隣から境界を越えて木の枝が伸びてきた場合、勝手にこれを切り取ることはできませんが、隣地の所有者に切除するよう請求する権利があります。これに対して、隣地から伸びてきた竹の子は「根」に当たるので、これを切り取ることができます。最近は、隣地の木の枝が境を越えて伸びてきて、家の屋根に落ち葉が積もって困るなどという深刻な相談も寄せられています。まず、木の枝を切除するよう請求し、それでも切除してくれない場合には裁判を提訴して切除を請求することになります。ただし、ご近所のことですからいきなり裁判というより簡易裁判所に調停申立をして第三者に入ってもらって話し合いをするというのもよいかもしれません。
塀をつくる(ご近所トラブル-その2)
塀の設置について、民法225条1項は「二棟の建物がその所有者を異にし、かつ、その間に空地があるときは、各所有者は、他の所有者と共同の費用で、その境界に囲障を設けることができる」と定めています。そして、どのような塀を作るかは当事者で話し合って決め、その費用は折半で境界線上に塀を設置するというのが原則です(民法226条)。しかし、話し合いで決まらない場合、民法225条2項は「当事者間に協議が調わないときは、前項の囲障は、板塀又は竹垣その他これに類する材料のものであって、かつ、高さ2メートルのものでなければならない」としています。もっと良い材料で作りたい、もっと高い塀を作りたいという場合、作ることは可能ですが、これによって増えてしまった費用は作った者が負担しなければなりません(民法227条)。また、話し合いで解決できない場合には、簡易裁判所に調停申立をするという方法もあります。しかし、こんな面倒な事をしてまでしたくないという方もいます。そういう場合には、境界線よりも自分の土地に入っていれば、自分の土地に自分の費用で塀を作るのは自由です。ただし、境界線(境界標)はきちんと確認してください。
いずれにせよ、ご近所の方とは日常的に顔を合わせることが多いですから、ご近所トラブルへの対応には慎重な判断が必要になってきます。わからないことがありましたら、ぜひ弁護士にご相談下さい。