お金の貸し借りをめぐるトラブル(全2回) 第2回
1日で裁判が終わる少額訴訟
裁判は長くかかるし、弁護士を頼めば弁護士費用がかかるから二の足を踏むという話をよく聞きます。お金を貸したが返してもらえないというときには、60万円以下の金額であれば、簡易裁判所の少額訴訟の手続きを利用することができます。少額訴訟は原則として1日で手続きを終えることを目標にしており、迅速に問題を解決することができます。ただし、1日で終えるということは、裁判を提訴するときに、訴状がきちんとつくられていて、証拠もきちんとそろえて出しておくという必要があります。簡易裁判所には、貸金請求の訴状のひな型があります。ひな型にそって書けば訴状をつくることができます。証拠としては、借用証、および、現金を貸した場合にはお金を受け取ったという領収証、又は、振込送金した場合には振込送金の控えをコピーして提出します。相模原市には相模原簡易裁判所があります。わからないことがありましたら、弁護士に相談してください。
内容証明郵便とは?
よく法律相談で聞かれる話として、借りたお金を返してもらうために内容証明郵便を書きたいがどのような効力があるのですかという質問があります。内容証明郵便とは、普通の手紙の場合、手紙の内容を客観的に証明することはできませんが、内容証明郵便を利用すると、郵便局に内容証明郵便が保管され、どのような内容の郵便物を出したのかを証明できます。そして、内容証明郵便と合わせて配達証明郵便にすると、いつ相手方に郵便物が届いたのかを証明する葉書が郵送されます。
このようなやり方で郵便を出すと、「時効中断」という法律的な効果が客観的に認められます。その前提としてまず、個人間の借金は10年間で消滅時効となり、それ以降は、お金を借りた人が時効になっているから返さないと主張した場合には返してもらえなくなります(会社の場合は5年間で消滅時効となります)。「時効中断」とは、例えばお金を貸してから3年経ってから時効が中断すれば、中断した時点でそれまで経過した時間は0に戻り、その時から新たにまた時効が進行するという効果のことです。例えば、本来はお金を貸してから10年で時効となりますが、貸してから3年後に時効が中断すれば、新たな時効はお金を貸してから3+10=13年経った時になります。返済の催促をすると時効は中断するのですが、口頭で返済の催促をしても、催促をしたということを客観的に証明するのは難しいので(言った言わないの水かけ論になってしまいます)、裁判になると催促をしたと認めてもらうのは難しくなります。その点、内容証明郵便+配達証明郵便で催促をすると、いついつ借金返済の催促をしたということを客観的に証明することができますから、裁判になっても催促したと認めてもらえることになります。ただし、内容証明郵便+配達証明郵便で催促しても、それだけでは十分でなく、催促から6か月以内に民事裁判を提訴しないと時効中断の効力を失います(つまり、消滅時効が完成しお金を返してもらえなくなります)ので、ご注意ください。