所員雑感 Vol.33 娘と一緒にスペインの旅 第8話(マドリード編)
欧州最高地の首都
新幹線AVEは夕刻のマドリード駅に着いた。この都市は、イベリア半島の中央部・海抜646メートルに開かれ、欧州の首都として最高標高地にあるというのは意外であった。もともとイスラムの社会として出発したが、レコンキスタでキリスト教社会に組み込まれた。16世紀以降、神聖ローマ帝国のハプスブルク家、さらにブルボン家の王国の中心となってきた。
駆け足で巡った美術館
午前はプラド美術館。16世紀エル・グレコ、17世紀ベラスケス、18世紀ゴヤ、スペイン3大巨匠の作品を次々と解説された。視聴しているときはなるほどと頷いているものの、2時間後に館外に出た途端に風のように過ぎ去った。それでもゴヤのキリスト教の道徳に反すると批判されたヘアーヌード「裸のマヤ」とカムフラージュした「着衣のマヤ」のカンヴァスの印象は素晴らしかったし、ナポレオン軍が素手の庶民を銃殺する場面を描いた「1808年5月3日」は戦争の不条理、非情さを伝えるに余りがあった。
午後は、娘と地下鉄を乗り継いて王立ソフィア王妃芸術センターに足を運んだ。目的はゲルニカ。1937年スペイン内戦でバスク地方のゲルニカが空爆を受けたことに憤慨したピカソが1ヶ月で描いたものだという。実物は本当に大きな作品であった。
広場と門
欧州の都市の多くは、都市国家時代の遺産である広場と門が配置されている。スペイン広場にはドン・キホーテとサンチョ・パンサの銅像、マヨール広場にはフェリペ3世の騎馬像が立っていた。アルカラ門の前は独立広場と言われ、太陽の門広場には山桃をとろうとする熊の像が写真スポットとなっていた。マヨール広場は17世紀に集合住宅として建てられた4階建ての建物に囲まれた場所で、かつては異端審問の火あぶりの刑や闘牛、王室の儀式などに使われてきたそうである。周囲を囲む建物の窓とバルコニーの数は477だそうだ。
レアル
マドリードには王立と名付けられた施設などが多い。繁華街の一角にサッカークラブRealmadoridのグッズ専門店があった。私はバルセロナFCの方が好きで既に背番号10のユニフォームとキャップを買っていたが、この専門店で節度なく、レアルマドリードのネームの入った水筒を買った。
夜、ホテル内のレストランで、参加者一同、怪我も病気もスリ被害もなく過ごした8日間の旅の思い出話を語り合いながら、打ち上げ会を行った。(終)