所員雑感

所員雑感 Vol.30 娘と一緒にスペインの旅 第5話(セビーリャ編)

弁護士 中野 直樹

大セビリア主義

 朝9時にグラナダを出発し、240キロ西方向のセビリアに向かった。バスの窓外には、見慣れたオリーブ畑に加えて、コルク木畑が広がる。その実のドングリを食べた豚はイベリコ豚としてブランド商品だ。歌劇「カルメン」、「セビリアの理髪師」、「フィガロの結婚」の舞台であるセビリア県はアンダルシア州最大の面積と170万人の人口を擁し、県都のセビリア市は70万人の人口で、スペイン第4の都市だそうだ。

 

 16~17世紀大航海時代に、スペイン王朝はインカ帝国から略奪した35㌧の金や財宝を売却して戦費に当てたと言われている。セビリアは内陸にありながら大西洋に通ずる大河の港町として富が集中し、新大陸発見のコロンブスの出港地となった。

 グラナダとの仲が悪く、我がバスのグラナダ人運転士がホテル敷地内での荷物下ろしを頼みに行ったところ、ホテル側からそれを認めないとの差別的対応を受け、激しい口論になっていた。

大聖堂

 4月1日だというのに気温計は38度まで上った。7~8月は50度近くまでなるという。セビリアには14の世界遺産があり、そのうちの1つ大聖堂に案内された。もともとイスラム寺院であったが、1248年にキリスト教勢力がこの地を奪還してから、ゴチック建築をつなぎ合わせて王宮を造ったものだという。ガイドは、アルハンブラ宮殿の粗雑なコピーだと評していた。規模は大きく、バチカン、ロンドンの大聖堂に次ぐ世界三大カテドラルだそうだ。インカ帝国から強奪してきた金が鍍金され、聖堂内部は豪華絢爛という言葉がぴったりのつくりであった。

 

 

 

 提督の間には、コロンブスの家紋が掲げられていた。ドミニカに埋葬されたコロンブスの遺体がハバナを経て1898年にこの大聖堂に持ち込まれ、王の使者の担ぐ棺に納められているという。ちゃんとDNA鑑定済みだとの説明だった。

 

 このまちの象徴となっている90メートルのヒラルダの塔に上った。すべて螺旋状のスロープでつくられ、指折り確かめなかったが、34のカーブがあるそうだ。階段に比べ疲れない。釣鐘のある展望室からオレンジの中庭を見下ろし、さらにまち並に目を向けると闘牛場が見えた。

スペインリーグ

 世界最高峰と言われるサッカー・スペインリーグ。セビージャFCの本拠地スタジアムの外を一周してきた。グラナダに長年住んでいる日本人ガイドは、弱小チームだったCFグラナダがリーグに昇格し、いま残留をかけてたたかっているチームにグラナダ市民は燃えていると力んでいた。スペインリーグというと巨額の金でスーパー選手を獲得することが話題となるが、グラナダのチーム全体の予算規模は、レアル・マドリードの高年俸選手1~2人分の年俸相当というから、物凄い経済格差である。ちなみに2014年シーズンの結果は、優勝が勝点94のFCバルセロナ、セビージャは勝点76で5位、そしてグラナダは勝点23で、残留に滑り込んだ。グラナダは大騒ぎであったろう。

2015/10/30
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