事例紹介

労災休業補償給付の不当な打ち切りを撤回させました

弁護士 和泉 貴士

 精神疾患で労災認定後、4年以上経過しても治癒しないケースは4割程度存在するとの報告があります。この事案も、長時間労働によりうつ病発症後、外出すること自体かなり難しい状態が続いていました。10年以上前に労災認定され、休業補償給付の受給を続けていました。

 そのような中で、労基署は休業補償給付の打ち切りを行いました。労基署は障害補償給付の申請をして後遺障害認定を受ければ良いとの説明を行ったようですが、精神疾患の時間で後遺障害等級が認定されることは稀であり、経済的に極めて不安定な状態に置かれた依頼者から相談を受けました。

 まずは社労士さんに協力してもらい、障害厚生年金の支給決定を得ました。ある程度経済的な余裕ができたところで、労災の障害補償給付の申請を行いました。過去10年のカルテを整理し、認定要件(持続的な人格変化等)に合致する事実を抽出し意見書を作成しました。

 その後、労基署から連絡があり、改めて検討した結果、休業補償給付の打ち切りは間違っていたので支給を復活させるとの連絡があり、依頼者に対する謝罪も受けました。

 なお、弁護団は、弊所の川合、田中、和泉の3名です。

2021/08/16
  • 法律相談のご予約