事例紹介

将来の養育費の一括払い

弁護士 田中 健太郎

 養育費とは、離婚後に子供を育てている親がもう一方の親に対して請求できる生活費のことです。

 養育費の金額は、基本的には、裁判所が作成した改定標準算定表を使って双方の親の収入を比べることで機械的に計算します。

 

 そして、養育費の支払方法は、毎月1回とするケースが大多数ですが、相手方との合意ができれば将来の養育費を一括で受け取ることもできます。

 もっとも、将来の養育費の見積合計額をそのまま受け取ることができるわけではなく、受領時点にまで割り引いた割引現在価値(DCF:Discount Cash Flow)で受領することになります。

 例えば、①2年後に受け取る530万4500円と②今すぐ受け取る500万円はどちらの方が得でしょうか。

 民法上の利息は年3%なので、同利率を前提にすれば、2年後に受け取る530万4500円に2年分の利息が含まれていると考えると、現在の価値に引き直すためには、530万4500円÷(1.03)という計算をする必要があり、結果的に、今すぐ受け取れる金額は500万円となります。

 つまり、①と②は法的な優劣がつけられないことになります。

 

 将来の養育費の一括払いを受けためには、上記の割引計算をする必要があります。

 

 合意した時と経済状況等が変わった場合には合意内容を変更する余地があるため、紛争の終局的解決に資するかは疑問がありますが、継続的に養育費の支払が期待できないケースでは一考の余地がある受領方法です。

2022/06/16
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