中小企業問題

社内でのセクハラ・パワハラの防止について教えて下さい。

「セクハラ」「パワハラ」などの言葉をよく聞きます。雇用主は、従業員の人格権を守る義務を負っていますが、昨今は社内における人格侵害が多数発生しています。

セクシャル・ハラスメントは、男女雇用機会均等法11条で「職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることと定義されており、雇用主は適切な措置を取ることが求められています。

したがって、不適切な言動、行為を行った人が民事・刑事上の責任を負うだけでなく、適切な措置を取らなかった会社が法的責任を負う場合もありますのでご注意ください。厚生労働省が、セクハラ防止のために、事業者がとらなくてはならない措置(10項目)を定めており、事業主の方針の明確化・その周知啓発、苦情・相談への対応、当事者に対する適切な措置などを行うことが定められています(厚生労働省)。

パワー・ハラスメントは、厚生労働省によれば、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいうとされています。暴行や暴言がこれにあたることは当然ですが、過大・過小な要求、プライベートな事柄に不当に立ち入る行為などもこれに当たります。最近は、パワハラに起因する労災も多く認定されており、また、雇用主の損害賠償を認めた事例も増えています。労働組合の協力を得た上で、就業規則等にパワハラ防止の規定を盛り込むこと、管理職や社員を対象にパワハラ防止の研修等を実施する等の対策を取ると良いでしょう。

私は、一人で土建業をやっています。仕事中の怪我が心配なのですが、労災保険に加入することはできますか?

労災保険は、業務上の事由または通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等に対し労災保険法に基づいて保険給付等を行う制度です。

この点、事業主、建設業における大工さんや左官屋さん等で、労働者を使用しない、いわゆる一人親方は、労働基準法上、労働者と見られない場合があり、このままでは労災保険に入ることができません。

しかし、これでは、実際には労働者と変わらないような仕事をしている一人親方等が十分な保護を受けられないことになり、不都合です。そこで、中小企業主や一人親方も、労働保険事務組合(特別加入団体)を通じて労災保険に加入することができます。これを特別加入制度といいます。申請書を、労働保険事務組合を通じて労基署に提出することで加入できますが、給付基礎日額や補償の対象となる範囲が、通常の労働者と若干異なりますので注意が必要です。

会社を経営していますが、経営が行き詰まってしまいました。会社の債務整理はどのようにしたらよいでしょうか?

会社が経済的に行き詰まった場合、いくつかの方法が考えられます。この際、特定の債権者だけに弁済するようなことが起こりますと、円滑に手続きが進みませんので、全債権者を平等に取り扱うことが求められます。

債務整理手続きは、会社をたたむ(清算する)方法としない方法に大別されます。

会社の清算をしない手続きのうち、債権者と直接話し合って、債務を免除してもらったり、分割払いを認めてもらう方法があります。これを任意整理といいます。この他、任意整理がうまくいかないとき、裁判所が関与する手続きとして、会社更生手続や、民事再生手続などがあります。

会社の再建が不可能である場合は、破産手続をとることになります。

この場合、取締役会で、会社破産を申し立てる決議をあげ、議事録を作成することが必要です。また、破産管財人が選任されますので、破産の規模に応じた予納金が必要です。

その余の手続は個人破産と同じですが、会社が解散されるため、免責の手続きはありません。

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